小石原字宿平の行者杉の森には、修験の始祖「役行者」(えんのぎょうじゃ)の木像が安置されている行者堂や石積みの護摩壇、香水池など修験道に縁の遺構や遺跡が残っており、当時の面影を今に伝えます。
樹齢600年といわれる杉の巨木群「行者杉」については、行者杉のページ をご覧ください。
行者堂と役行者
行者堂は深仙宿(じんせんしゅく)と呼ばれ、修験者峰入修行(春峰)の重要な行場で、どの宿よりも長い一週間滞在して修行したといわれます。行者堂には、木彫りの「役行者」彫像があり、高さ四寸の二本歯高下駄を履き、右手に錫杖を持ち坐した木像は、全国的にも珍しい大作で、1595年(文禄4年)肥前国叡盛が奉納。「役行者」は、正式には「役小角」(えんのおづぬ)といって、実際小さな角が2本あります。
- 行者堂の正面上段には、「香精童子」を祀る石堂があり、1773年(安永2年)造立されている。(上中央)
- 護摩壇は、径3.10m、高さ0.95m、1782年(天明2年)造立。平成元年解体修復している。(下右)
- 役行者のお供「前鬼(ぜんき)後鬼(ごき)」「山犬」は、行者堂に役行者脇に坐している。(下中央・右)
※「役行者」、「前鬼、後鬼」、「山犬」は、通常開帳していない。当協会のガイド同行で参拝ができる。
役行者と大蛇の話
701年(大宝元年)、役行者は唐の国に修行の旅に出かける途中、現在の行者堂付近の沼地で悪さをはたらく大蛇を、「香精童子」の力を借りて法力で懲らしめたといわれています。
※紙芝居「役行者と大蛇の話」は、当協会ガイドがお話しします。(11枚約10分)
香水池と膝石
「役行者」が大蛇を懲らしめたとき、錫杖(しゃくじょう)で地面を撞(つ)いてできたのが霊泉「香水池」といわれています。古来より、五穀豊穣を願い病害虫駆除の霊薬として、近隣在郷から「お水もらい」群参したといいます。
小石原の地質は、小石原焼の陶土に適した鉄分を多く含んでいるため、井戸水は飲料には適さない。しかし、この香水池だけはきれいな清水が今も湧いている。(湧出量は非常に少ない)
香水池の左右にある窪んだ石は「膝石」といって、膝をのせ霊泉で洗えば痛みに特効ありとか。
アクセス
行者堂へは、マイカー又はJR日田彦山線が便利です。
- マイカー:国道500号沿い大字小石原字宿平の峠付近。(中型バス以上は通行できません)
- JR利用:JR日田彦山線 英彦屋駅より車で約8分。